顧客リサーチの落とし穴

商品を販売するうえで、お客さんを知ることの重要性については何度かここで
お話ししてきました。
お客さんを知るために小さな会社でも良く行われる手軽な方法のひとつとして、
お客さんにアンケートをとって直接回答してもらうことがあります。

あるいは、お客さんに口頭でヒアリングするというのも手軽で良く行われる
方法です。
いずれにしても、当のお客さんに直接聞くという方法ですね。

顧客リサーチでの定性的な回答に注意

お客さん自身のことをお客さんに聞くわけですから、お客さんのことが良く
わかるだろうと思われがちです。
もちろん、お客さんの属性とか購入した商品とかの明白な事実については、
その通りです。

でも、恐らく最も関心のある「なぜ他社ではなくあなたの商品を買ったのか?」
とか、「この商品のどこが気に入って買ったのか?」などの定性的な質問に
対する回答ついては、それを解釈する際に少し注意が必要です。

なぜなら、商品を選ぶときにあえて言うまでもない最低限のベースとなって
いる基準が、お客さんによって異なるからです。
ちょっと分かりにくいので、例をあげてみましょう。

表面に現れない真実がある

仮にあなたが既婚者なら奥さんを、独身なら将来結婚したいと考えている人を
思い浮かべてください。
あなたがその人と結婚した、あるいは結婚したい理由を訊かれたとしたら、
どう答えるでしょうか?

容姿が綺麗だったから?
性格が良かったから?
それとも、趣味が合ったからでしょうか?

例えば、「心が優しくて家庭的な相手がいい。」
と答えた人がいたとしましょう。

でも、その相手が月に一度しか風呂に入らなかったり、裸同然の恰好で出歩い
たり、増してや人じゃなくてオランウータンだったりしたら絶対に結婚なんか
しませんよね?

これらは結婚相手として見た場合のベースとなっている基準で、あえて言う
までもない当たり前のことです。

「心が優しくて家庭的な相手がいい。」という回答の裏には、このような最低限
ベースとなる基準はクリアしているという前提があります。
そして、それをどこまで答えとして表に出すのかは、人によって異なるのです。

答えとして表明しなかったからと言って、それ以外の条件がどうでもいいわけ
ではありません。

あなたの商品を買ってくれた理由が「品質がいいから。」や「安かったから。」
だったとしても、それだけを維持向上すればいいと考えるのは間違いです。

アンケートやヒアリングに応じてくれるとしたら、ある程度は関係性が構築
できていると言えます。
一度のアンケートだけで判断するのではなく、相談を受けたりして継続的な
関係を続ければ、お客さんに対する理解も深まります。

そうなれば、回答の裏に隠れた真実も見えてくるでしょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です