お客さんが求めるものを提供すること
コナン・ドイルというイギリスの小説家をご存じでしょうか?
「名探偵シャーロック・ホームズ」の生みの親で、私もこのシリーズは子供の
頃に大好きでよく読んだものです。
そのコナン・ドイルですが、本当に書きたかったものは騎士道精神をテーマに
した歴史小説だったというのは、あまり知られていません。
やりたいことを優先させた結果・・・
ドイルが本格的な歴史小説を書きあげても、「シャーロック・ホームズ」の
イメージがあまりに強かったため、世の中には子供が喜ぶ冒険小説としか見て
もらえなかったようです。
一方で、「シャーロック・ホームズ」の人気は絶大で、ファンや出版社からは
新作の依頼が止まらない。
ジレンマに悩むドイル。
あなたのビジネスでも、こんなことが起こってないでしょうか?
例えば、本場スペインの空気感や雰囲気を感じてもらえる店づくりをしている
のに、お客さんには単に「美味しいパエリアのお店」としか評価されないとか。
思わず、「そこじゃねーよ!」と言いたくなってしまうかも知れません。
ドイルは悩んだ末に、とうとう主人公であるホームズを滝つぼに転落させて
葬り去ってしまうのです。
その結果、ファンからは抗議の手紙が殺到しました。
先ほどのお店も、パエリアをメニューから外したらどうなるでしょうか?
恐らくお客さんは落胆して、もう二度と来なくなってしまうでしょう。
求められるものと提供するものをマッチングする
自分が提供したいと思っているものは、もしかしたら今のお客さんが求めては
いないものかも知れません。
それを無視して「やりたいこと」だけを通すなら、それはもはやビジネスでは
なく趣味になってしまいます。
お客さんが求めるものを提供して、その対価を頂くのがビジネスですからね。
お客さんが「美味しいパエリアのお店」として来店するなら、店主がどう考え
ていたとしても、そこは「美味しいパエリアのお店」なのです。
コナン・ドイルと言えば「シャーロック・ホームズ」というのと同じです。
もし、商品が正しく評価されていないと感じているなら、あなたが提供したい
と考えているものと、お客さんが求めているものがズレているのかも知れません。
あるいは、あなたの意図していることが、正しくお客さんに伝わっていない
可能性もあります。
もし心当たりがあるなら、是非お客さんの視点で見直してみてください。
P.S.
後年、ドイルは「シャーロック・ホームズ」を復活させ、待ち望んでいた
ファンに熱狂的に受け入れられました。