現場の声が経営に届く。小さな会社で始める “対話の文化” づくり

「現場の本音がわからない」
「報告はあるけど、“気持ち” や “違和感” までは伝わってこない」
「経営者と社員の間に、なんとなく壁がある気がする」
そんな感覚、ありませんか?
実は今、多くの中小企業で「報告はあるけど、対話がない」という “静かな断絶” が起きています。
この記事では、現場と経営の距離を縮める「対話の文化づくり」を、小さな会社でも始められる方法としてご紹介します。
なぜ “対話” が必要なのか?
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「報告」= 決まったことを伝える
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「会話」= 雑談や状況の共有
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「対話」= お互いの考えや感じていることを聴き合うこと
つまり、「対話」は人と人が “心” を通わせる時間です。
経営者は現場のリアルを知る。
社員は自分の声が届いていると感じる。
・・・この関係性が、組織にエネルギーを生み出します。
小さな会社だからこそ、“対話” が武器になる理由
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距離が近いから、声を聴きやすい
⇒ 大企業と違い、部署をまたがなくても社長と社員が直接話せる。 -
対話の変化がすぐに組織全体に波及する
⇒ 雰囲気が変わるのに、1年も研修を重ねる必要はない。 -
形式にこだわらず、柔軟に始められる
⇒ 朝礼、昼休み、作業後、どこでも “対話の芽” を育てられる。
対話の文化を育てる3つのステップ
ステップ① 「話しやすい場」をつくる
社員が “本音” を言えるかどうかは、「何を話すか」以前に「どこで話すか・どう話せるか」が鍵です。
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少人数(できれば1対1または2〜3人)
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上下関係を一時的にフラットにする
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評価や説教を目的にしない
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話しても大丈夫、という安心感がある
まずは、“聴く場” を意識的につくることから始めましょう。
ステップ② 「問いかけ」を変える
よくあるNG質問
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「何か意見ある?」
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「問題ある?」
⇒ これでは「ないです・・・」で終わってしまいます。
◎ おすすめの問いかけ
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「最近、モヤッとしたことある?」
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「やりづらさを感じた場面ってあった?」
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「これ、うちの理念に照らしてどう感じた?」
“Yes/No” では答えられない問いが、対話のきっかけになります。
ステップ③ 「聴いたこと」をどう扱うかがすべて
せっかく意見を聴いても・・・
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流された
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無反応だった
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「でも」「それは違う」とすぐに否定された
これでは、二度と本音は出てきません。
まずは、
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「なるほど、そう感じてたんだね」
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「教えてくれてありがとう」
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「すぐには変えられないけど、大事に考えます」
という受け止め方・扱い方を大切にしましょう。
実践例:ある町工場の “対話” が生んだ変化
とある社員10人の町工場では、毎週15分だけ「作業後の対話タイム」を始めました。
テーマはシンプル。
「今週、現場でちょっと困ったこと・工夫したこと」
それを社長がメモし、翌週の会議で一言コメントを返すようにしただけ。
数ヶ月後には、
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若手が「この工程、改善できるかも」と自発的に提案
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ベテランが「自分のやり方が合ってるか不安だった」と口を開く
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社長が「もっと現場の声を聴こうと思った」と振り返るようになった
対話が、現場と経営の “架け橋” になった瞬間でした。
まとめ:対話は、“変化の土壌” を耕す仕事
「現場が自律的に動かない」
「社員の本音がわからない」
その多くは、「やる気」や「能力」の問題ではありません。
“声を出せる関係性” が育っていないだけなのです。
対話は、その関係性をゆっくりと、でも確実に変えていきます。