“任せても動かない” 部下の本音と、信頼を育てる関わり方とは?

「思い切って任せたのに、全然動かない…」
「『自由にやっていいよ』って言ったのに、様子をうかがってばかり…」
「やっぱり最後は自分がやるしかないのか?」
こんな風に、“任せたのに動かない” 部下にモヤモヤした経験はありませんか?
でも実は、部下の本音を探ると「やる気がない」わけではないことがほとんど。
そこには、「信頼」と「関わり方」のギャップがあります。
なぜ “任せたはず” なのに、動かないのか?
「任せる」という言葉は一見シンプルですが、受け手にとっては曖昧に感じることが多いのです。
部下の本音には、こんな声が隠れています。
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「任されたけど、どこまで自由に決めていいのかわからない」
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「ミスしたら怒られるんじゃないかと不安」
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「結局、あとで口出しされるから様子を見ている」
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「相談したいけど、“任せた” と言われたから話しかけづらい」
つまり、“任せたつもり” でも、部下は “放り出された” と感じている可能性があるのです。
任せる=「仕事を渡すこと」ではない
本当の「任せる」は、単に仕事を投げることではありません。
任せるとは、次の3つをセットで渡すことです。
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目的(何のためにやるか)
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権限(どこまで自分で決めていいか)
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支援(困ったときにどう助けるか)
これがそろって、初めて「任された」と安心して動けるのです。
信頼を育てる5つの関わり方
では、どうすれば「任せても動かない」状態から抜け出せるのでしょうか?
現場で実践しやすい関わり方を5つご紹介します。
① 「やっていいライン」を明確に伝える
部下は「どこまで自分で決めていいのか」に不安を感じています。
「ここまでは自由に決めてOK」「ここからは相談してね」と境界線を明示することで、安心して動けるようになります。
② 任せたあとも「見てるよ」「気にかけてるよ」の一言を
完全に放任されていると感じると、やる気は下がります。
「任せてるけど、ちゃんと見てるからね」
「困ったらいつでも声かけてね」
・・・このひと言が、部下の背中を押します。
③ 失敗に寛容な “練習の場” をつくる
初めから完璧にこなせる人はいません。
「今回のチャレンジはトライアルとしてやってみよう」
「うまくいかなくても、そこから一緒に学べばいいよ」
と伝えることで、「挑戦してもいい空気」が生まれます。
④ 任せた成果は、ちゃんとフィードバックする
やりっぱなしにせず、終わったあとには必ず声をかけましょう。
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「あの対応、うまくいってたね」
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「ここは今後こうするともっと良くなるね」
良かった点と改善点の両方をフィードバックすることで、部下は次への自信をつけます。
⑤ 「信頼している」と言葉で伝える
リーダーが思っている以上に、部下は「信じてもらえているか」に敏感です。
シンプルでも構いません。
「今回は君に任せたい」「期待してるよ」と、言葉で明示することがカギです。
実践例:こんな会話が信頼を育てる
✕ NG例:
「この件、君に任せるわ。よろしく」
(何を?どこまで?失敗したら?…部下は戸惑う)
◎ OK例:
「この案件、ぜひ君に任せたい。
最終決定はこっちでやるけど、企画のアイデアと工程の管理は自由に進めてOK。
2日後に進捗だけ一度見せてくれる?楽しみにしてるよ。」
⇒ 任せる範囲・判断基準・期待が明確になり、部下も動きやすくなります。
まとめ:「動かない部下」は信頼のつくり方で変わる
「任せたのに動かない」
その背景には、部下なりの “慎重さ” や “不安” があることがほとんどです。
だからこそ、「放任」でも「細かい指示」でもなく・・・
“信頼して任せる” という関わり方が、組織を自律型に変えていくカギになります。